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ほんとはいいたかったこと・・・鈍間雑記

2013年 07月 29日 ( 1 )

『嘆きのピエタ』~赦~

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公式HP
生まれてすぐに親に捨てられ天涯孤独に生きてきたイ・ガンドは、法外な利息を払えない債務者に重傷を負わせ、その保険金で借金を返済させる取り立て屋をしている。そんなガンドの目の前に、母親を名乗るミソンという女が現れた。ミソンの話を信じられず、彼女を邪険に扱うガンド。しかし彼女は電話で子守歌を歌い、捨てたことをしきりに謝り、ガンドに対し無償の愛を注ぎ続ける。だがガンドが心を開こうとした矢先、姿を消したミソンから助けを求める電話がかかってきた。
<allcinema>



ガンドは零細町工場相手の闇金業者。
3ヶ月で利子が元本の10倍になり、最初から返済できる見込みはなく、担保に保険金をかける。
ガンドの取立てのやり方は冷酷非情で、こういうの日本でもあるんだろうかと、ビビリな私は目を背けたくなる場面もありました。

舞台は町工場が立ち並ぶ地域で、建物はボロボロだしシャッターが下りてる工場も多く、死臭が漂っているような雰囲気を感じました。
町工場ですから油断すると大怪我をしそうな機械があるわけで、仕事中に手足が不自由になったことにして障害者保険で返済させるのがガンドのやり方。

身体が不自由になって仕事は出来ず、保険金は返済にとられ、結果ホームレス・物乞いの生活になります。
債務者の中には、仕事も出来ないのに生きて入れば家族に迷惑になりますから「それなら殺してくれ」と頼む人もいますが、自殺は保険金が面倒なので殺しません。
死なない程度の高さから突き落としたり、機械に袖が巻き込まれたようにしたり・・・
債務者が自殺して保険金が難しくなると、債務者の家族へ取り立て。金目のものがないとペットの兎を奪う(ガンドにとっては食材)。

こんなガンドが、無償の愛を知ってガラリと変わります。

(8/8追記)
兎はミソンに逃がされますが生きていけず、それをどう解釈していいかわかりません。
大切な人がが去っていくということか?
兎はミソン?
もしかして、兎は食材ではなくペットにするつもりだったのかあなぁなんて思ったりして。
水槽の鰻が朝ごはんになって動揺してたようにみえたし(メモだけ残して食べなかったのが気になります)




**********

ガンドの前に母親だと名乗る女性・ミソンが現れます。
ガンドは信じず、または信じたとしても自分を捨てた相手を許せず、拒絶します。
それでもミソンはガンドの後を追い、何をされても我慢し、ガンドの為に人を傷つけもする。

(8/8追記)
ミソンが口にしたものは、ガンドの身体の一部(つまり人肉)と考えていいのか?
最初は食材の内臓の一部かと思ったんですが、ガンドの足元の血を見たミソンが吐き出しそうになったということはそうなのかなと。でも、もしそうならどうやって??



やっとガンドから母親と認められ、それからの二人は恥ずかしくなるくらいの“ラブラブ”生活。
甘えることを知らなかったガンドは、子供に戻ってしまったんです。

(8/8追記)
この二人のラブラブぶりもそうだけど、債務者の親子のラブラブぶりにも驚きました。
息子が母親の髪を整え手鏡を渡し、母親も嬉しそうに鏡を見るのがちょっと・・・
(『はじまりのみち』の木下親子の場合は状況というか状態から納得できる)
これが韓国では普通なのか、そうでないのか??
ガンドが母親に見せ付けるように債務者の息子をビンタするのが、嫉妬心のように感じて酷いというより切なかったです。





ミソンがガンドの前に現れた本当の理由が次第にわかってくる。
最終目標が何かわかってくる。

一人で生きている時は、何も失うものもなかった。
一人でなくなり、失うことが怖くなった。
なんて残酷な仕打ちだろうと思うけど、目には目をということか。


ガンドが真実に気付いた後の選択が衝撃的。
“真実”にはミソンが何者かということだけでなく、逆の立場になって相手の気持ちがわかり、自分が今迄何をやってきたかということも含みます。


**********

ミソンがガンドの夢精に無表情で手を貸すのに驚き。
冒頭でもガンドは夢精をしていて、これは2回目。
2回もあるんだから何か意味があるんだろうと調べたら、インタヴュー記事で『夢精』がタイトル候補だったことがわかりました。
ミソンが眠っているガンドに本音をぶつけるのと関係あるのかたなと考えていたのですが、幼児性を表しているようです(作品をご覧になった方は「幼児性」でピンとくるでしょう)。


ミソンの最後の独白は母性と慈愛そのものだと思う。
ガンドを赦すことは、ある人に赦しを請わねばならない。
最初の目的を達するのかどうが、凄く緊張して観てました。
よかった、タイトル変わって(チケットも買いやすいし^^;)

(8/8追記)
成人した息子が母親のベッドに入るのも驚き。
ミソンに追い出されて自分のベッドに戻りますが、何で怒られたのかわかってない。
ガンドの幼児性を表しただけなのか?
これも韓国では普通なのか、そうでないのか??



**********

ミソンの衣装が妙に気になりました。
赤い口紅と赤いスカートが、暗い街の中で浮いてるように感じて、この“赤”はラストシーンの“贖罪”に繋がってるのかな?

何の証拠もなく、自分については何も語らないのに母親と信じたのは何故だろうと思ってました。母親でなければ(無償の愛でなければ)ここまでしないだろうと思うところもありましたが、ミソンはどうしても母親には見えません。
観終わってしばらくしてから、ガンドは疑いながらも、ミソンに母親になってほしかったのではと思いました。考えすぎでしょうか?


食事について考えさせられました。
ミソンとの生活の前は、食事というより餌。
ここまでいかなくても、私も自分だけなら適当だなぁ・・・
(1人でもちゃんとお料理する方を尊敬してます)

バスルームの食材の残骸に、命を軽くみていることがわかります。
他人の命も、自分の命も。


**********

私にとってのキム・ギドグ監督作品は、好きか嫌いか賭けみたいなもの。
これは賭けに勝ちました!
復讐と贖罪の物語で、ラストシーンは静かな衝撃。


原題:PIETA
監督:キム・ギドク
製作年:2012年
製作国:韓国
配給:クレストインターナショナル
上映時間 :104分
by k-mia-f | 2013-07-29 22:19 | 映画