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ほんとはいいたかったこと・・・鈍間雑記

2008年 03月 30日 ( 1 )

『切腹』~千々岩求女~

『切腹』は脚本・演出・美術・俳優・音楽、どれをとっても余計なものがない作品だと思う。
回想シーンで和やかな部分があることはあるが、その一部分を除けは緊張しっぱなしの作品で、和やかなシーンの何気ない会話も、後々ズキンときいてくる。
最近の邦画は余計な台詞が多い気がする。

石浜朗演じる浪人・千々岩求女は主演の仲代達矢演じる浪人・津雲半四郎の娘婿。
貧しいながら武士のプライドを捨てずに生活してきたけれど、それを捨てなければいけない事態になる。彼の最期は画面から目を背けたくなるほど辛かった。
何だかんだといって、「勝ち組」井伊家の者による「負け組」貧乏浪人への虐めじゃないの?しかも、一度持ち上げてから落とす念の入れよう。
彼は自分の脇差を腹に刺すが介錯人は動かない。何故なら、腹に刺しただけで切っていないから。腹を十字に切ったのを確認しないと介錯はしないという。それが作法とやら。
十字になんて切れるわけがない、腹に刺せただけで・・・・ 彼の脇差は竹光・・・

この時の彼の思いを想像しようと思っても、なかなか言葉がみつからない。
「無念」「悔恨」「惨め」・・・何だろう。どれも十分でない気がする。
自分だったら出来るだろうか?泣いて詫びて足にすがり付いて・・・そうしたら許してもらえただろうか? 笑われて、突かれて、それでも生きて外に放り出してもらえただろうか?武士のプライドは捨て、刀は竹光、金をせびりにに井伊家へ、ここまで堕ちて、武士らしく切腹しようとするのは何故だろう?竹光の嫌味を言われて意地をみせただけではないと思うし。
「必ず戻る、一両日待ってくれ」と頭をさげるが、「切腹をする気はなかった」と頭を下げない。もしも待ってもらえたら(井伊家は戻ってくるとは思わないだろうから逃がすとして)、彼は戻ってきただろうか?死ぬ覚悟を決めたなら、怒りを覚えたなら、だめもとで介錯人に襲いかかろうと思わないのだろうか・・・ う~~ 頭の中が「ぐるぐる」してきた。


数年前、日本経済新聞の連載「私の履歴書」を仲代達矢さんが担当(?)した時に興味を持った作品。お気に入りの一本となりました。

最近、この作品を思い出すこと多い。

【あらすじ 参考:キネマ旬報DB】
寛永七年十月、井伊家上屋敷に浪人・津雲半四郎が「切腹する場を貸してほしい」と頼み出た。家老斎藤勘解由は、春先、同じ用件で来た千々岩求女の話をした。窮迫した浪人者が切腹すると称してなにがしかの金品を得て帰る最近の流行を苦々しく思っていた勘解由の判断、求女の狼狽、惨めな最期・・・ 話しが終わっても半四郎は考えを改めなかった。
半四郎の切腹の準備が整ったところで、半四郎が自分と求女の関係、求女が何故あのような行動をとったのかを語りだす。「一両日待ってくれ」と頼む求女に、せめて待たねばならぬ理由ぐらい聞いてやるいたわりはなかったのか。武士の面目などとは表面だけを飾るもの……。半四郎は厳しく詰め寄った。

徐々に明らかになっていく、半四郎の真の目的。


監督:小林正樹
出演:仲代達矢、三國錬太郎、石浜朗、丹波哲郎、岩下志麻、他
(1962年 日本)    
 
by k-mia-f | 2008-03-30 22:07 | 映画