人気ブログランキング |

ブログトップ

ほんとはいいたかったこと・・・鈍間雑記

『セデック・バレ』~継承~

b0125384_2032193.jpg

【あらすじ】
日清戦争の日本の勝利により、台湾は日本の統治下となる。山岳地帯で狩猟生活をしていたセデック族(先住民)にも日本の教育や文化を押しつけられ、低賃金で働かされる労働者となる。
セデック族の祝宴で日本人警察官が彼らを侮辱したことがきっかけとなり、日本の圧制に苦しめられてきた彼らは武装蜂起する(霧社事件)。
直ちに日本軍による鎮圧が開始され、当初は山岳地帯のゲリラ戦ではセデック族が有利だったか、次第に近代兵器を使用する日本軍に追い詰められていく。



【霧社事件】
1930年10月27日に台中州能高郡霧社(現在の南投県仁愛郷)で起こった台湾原住民による日本統治時代後期における最大規模の抗日暴動事件。霧社セデック族マヘボ社の頭目モーナ・ルダオを中心とした6つの社(集落)の男たち300人ほどが、まず霧社各地の駐在所を襲った後に霧社公学校で行われていた小学校・公学校・蕃童教育所の連合運動会を襲撃。日本人のみが狙われ、約140人が殺害された。現地の警察には霧社セデック族の警察官が2名おり、彼らは事件発生後にそれぞれ自殺。その後の日本軍の反攻により、蜂起した6社の約1000人が死亡し、生存者約550人は投降した。(公式HPより)
(台
湾原住民について
霧社事件について)


b0125384_20325693.jpg

恨まれても仕方ないような、セデック族を蔑視する日本人が登場しますが、日本とは異なる風習(文化)や信仰を理解し友好的な日本人も多く登場します。
花を愛で、無益な殺生をせず、文明的な生活の日本人に対し、対立する部族の人間を“首狩”した頭蓋骨がゴロゴロでてくるのがセデック族。冒頭から登場する対立部族の首狩(殺害)に、原住民の残虐な面にビビリます。
霧社事件の原因が日本の圧制にあったとはいえ、子供や女性も無差別に惨殺したセデック族に対し、日本側は非戦闘員(女性や投降者)は保護します(利用も含む)。

抗日映画ですが、決して反日映画ではありません。
しいていえば、親日的抗日映画といったところでしょうか?
かといって、自虐史観による作品とも思えません。

**********

無知の怖さ、本当の優しさや勇気、守るべきことの優先順位、次世代への継承、何をもって幸福・豊かさを量るのかとか考えさせられました。


セデック族の信仰では“真の男”のみが“虹の橋”を渡り、祖先の待つ世界へ行くことができます。
“真の男”になる為の条件は“首狩”の経験があることで“真の男”の証明に最初の“首狩”後に顔に刺青をいれます。
“虹の橋”を渡れば永遠に豊かな狩場がありますが、30年の日本統治で若者には刺青(渡る資格)がありません。
襲撃の本当の目的は信仰と誇り(受け継いだ土地)を守ることだったのでは?
この襲撃によって全員が橋を渡る資格を得たのですから。



セデック族の男達は勇猛に戦いますが、襲撃の場で泣き叫ぶセデック族の女達や、男達の足手まといにならないよう自害する女達の姿に複雑な思いを感じます。

「死んだら靖国(太陽旗)に入るのか、虹の橋を渡るのか?」
(注:台詞は不正確その②)
勉強して日本の警官となった集落の青年に対して頭目であるモーナの問いです。
警官になってもセデック族出身では昇格ないし、日本人の同僚からは蛮人と蔑まれた彼の選択は、セデック族として襲撃の手引きをし、日本人として自害でした。

**********

日本の統治前を知らないセデック族の子供がモーナに「昔の頭目は英雄だったって本当?」と訊ね、モーナは「今でも英雄だ」と答えます。
(注:台詞は不正確。大体こんな感じだったと思う。)

モーナの息子は日本の圧制・差別に我慢できず、戦うことを希望しますがモーナは許しません。
日本語を話し、日本人に頭を下げる頭目の姿は、祖先から受け継いできた土地に日本人が侵攻し、どのような戦いがあったのか知らない子供にしてみれば、臆病者に見えるのだと思います。

けれど、モーナは決して本心から日本人に従っているわけではなく、眼には静かな闘志があり密かに武器の準備をしています。
理不尽な事でも日本人に頭を下げ、仲裁に入り争いの芽を摘み取るのは、頭目として集落を守る為です。
先住民の頭目達は日本本土に招かれたことがあり、日本の軍事力を前にして自分達に勝ち目が無いことを知っています。日本人と戦うということは先住民の全滅を意味します。


**********

この作品が日本で受け入れられたのは、現在でもあるセコイ(?)嫌がらせや蔑視、それに我慢する人達の姿、祖先を祀るという信仰(キリスト教圏では敬う気持ちはあっても祀るというのは無い気がすします。)に共感する人が多かったからではないでしょうか?
先に書いたように女達の自害、敵を道連れにしての飛び降り、勝ち目がなく日本軍に殺されるより自害を選択するう男達、このあたりも日本人と似ている気がします。
理解し難い気がする“首狩”も、少し時代を遡れば日本でも欧米でも敵の首を刎ねていたし、主君の身代わりに刎ねられた人もいたし、子供の首を差し出した家来だっているし(文楽で観た)、セデック族が特別というわけでもないような。



b0125384_2033658.jpg

5月の鑑賞作品について、何で今頃こんなの書いているかというと(いつもの遅いけど)
蜂起を望む若者を制する「30年前に制圧された」昔の若者の姿に、昔の政治家を思い出したから。
なんだかんだとありましたが、戦争を知っている政治家が多かった頃は戦争だけは何としても避けたいという思いがあったような気がします。
誰と特定はできませんけど。
気のせいかもしれないけれど。

私には子供がいないけど、今朝の投票所でパパと一緒の子供を見ていると「誇りってなんだろう?」と考える。
子供は苦手ですが(正確には接し方がわからないので恐い)、
子供を産まなかったことに罪悪感や劣等感を感じてきました。
この罪悪感が「産まなくてよかった」と消えるのはもっと辛いこと。

泉田さんがいつまで頑張れるかわかんないし・・・
(「脅迫かい(怒)」という電力会社の発表があるし)
おいしいご飯がこれからも食べられるのか・・・
お芝居とか映画とか楽しむことができるのかとか・・・
今はこれ以上刺激してほしくないというか・・・
ねじれがあって丁度いいと思う。

私は上手寄りの中央席を選ぶ性質ですが、今回は席を変えてみました。
覚悟していた結果より、投票率の低さがショック・・・


製作年 :2011年
監督:ウェイ・ダーション
製作国: 台湾
配給: 太秦
上映時間 :第1部『太陽旗』143分、第2部『虹の橋』131分
by k-mia-f | 2013-07-21 22:02 | 映画