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ほんとはいいたかったこと・・・鈍間雑記

『キリマンジャロの雪』~労働者間格差~

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公式HP】(←予告編をしっかり作り過ぎな気がします)
【あらすじ】
 マルセイユに暮らす仲むつまじい夫婦、ミシェルとマリ=クレール。ある日、ミシェルが勤める会社で人員削減が行われることになり、労働組合では公平を期して退職者20名をクジで決めることに。組合委員長であるミシェルも、自分を例外とすることなくクジを引き、結果、退職となってしまう。マリ=クレールは、そんな夫を優しく受け止める。そうした中、子どもや孫たちによって結婚30周年を祝うパーティが盛大に催され、そこで夫婦の長年の夢だったアフリカ・キリマンジャロへの旅がプレゼントされる。ところがほどなくして、家に強盗が押し入り、大切な旅行券が奪われてしまう。数日後、元同僚が犯人と分かり、さらなるショックを受けるミシェルだったが…<allcinema>



物語はリストラ対象者を決めるくじ引きで始まりますが「労使間」ではなく「世代間」の対立がテーマです。
リストラ対象者を労組がくじ引で決めるとうのに驚きましたが、こういうのは実際にあること(ありえること)なんでしょうか?
私のイメージするリストラって、ネクタイの人事担当者と労働者の個別面談でネチネチのイメージなんですが・・・まぁ、この疑問はほっておいてもいいのでほっときます。大事なのは公平かどうか。
組合長は、会社側との交渉で全員解雇のところを20人にしたことである程度の結果をだしたと思っているし、リストラ候補に自分を含めたことで対象者は公平に決められたと思っています。
本当にこれが公平な決め方だったのでしょうか
“対立”というより“格差”ですね。

同じ労働者の立場でも、現在の若者と40年前の若者とでは、時代が違うといいますか、状況が違うといいますか、日本も同じだな(ボキ貧ですみません)
一緒にリストラされた“同じ労働者”のミシェルと強盗犯某の退職後の生活の様子で“格差”をわかりやすく描かれてます。
ミシェルが孫と海で遊んで間の家族の会話で、さりげなくテーマが語られています。ミシェルの息子がリストラされた時に感じてくれていたら、くじ引きが最善なんて思わなかったかも。

ここでの“格差”は退職後の生活資金。
ミシェルは裕福なわけではありませんが、直ぐに生活に困るわけではありません。
褄はヘルパーの仕事をしているし、
妻へのリストラ報告の場にインド料理ストランへ、
独立した子供たちから旅行チケットとお小遣いをもらい、
今迄と同じ収入は見込めなくても、チラシ配りのアルバイトでも生活には困らない。


某は小学生の弟2人を養いながらのアパート暮らし、朝食はコーンフレークのみ。
リストラされ、就職難で次ぎの仕事も無く家賃も滞納。
私が某の立場だったら、ミシェルの「幸せ家族パーティ」なんて馬鹿馬鹿しくて会場にいられない。
某の選択した強盗は許されることではないけど、同情してしまいます。

奪ったお金の使い道は、家賃と弟の好物のチョコペーストと弟を連れてのハンバーガー店での外食。
某が犯人とわかったのは、弟のために盗んだものから。
弟といっても父親は違うし、母親は育児放棄だし(この母親の身勝手な言い分には何も言い返せないです)、弟のことで行政に助けを求めることはできなかたのかと苛立ちますが、この状況でここまで頑張ったのは偉いと思う。(それでも弟達(子供)は母親を求めてるんだなぁと後で分かるので、頑張ってる某がちょっと可哀相に感じたりする)

**********

夫妻の選択には驚きましたが素敵な夫婦だなと思います。
二人とも逃げずに、自分で生き方を決めて、価値観も同じで理想の関係かも。
ここまですることないだろうと思うし、別の作品だったら偽善的で嫌な夫婦に感じたかもしれない。
ここまでするのは強盗の原因はリストラくじ引きにあるという罪悪感からか?
一応母親がいるし、他人が行政で何とかしてと頼むのは難しいのか?
福祉関係にお勤めの方には寓話に思えるかも。


台詞と映像が”説明くさくなくわかりやすい”(私にはかなり重要)
次ぎの場への引継ぎが滑らかというか、流れが綺麗だと感じました。
偽善的に感じなかったのはこの"流れが綺麗”だからな気もします(ボキャ貧ですみません)
観終わってしばらくしてからじわじわきいてくる感じが私好みです。
本当の幸せってなんだろう?温もりってどういうのだろう?
マルセイユの町並みや海岸、素敵な処方箋をだしてくれるバーとかも素敵^^


主演のジャン=ピエール・ダルッサン、モネ警部も良かったし、最近良作に恵まれてますね^^

原題 LES NEIGES DU KILIMANDJARO
監督 ロベール・ゲディギャン 
製作年 2011年
製作国 フランス
配給 クレストインターナショナル
上映時間 107分

by k-mia-f | 2012-11-08 07:15 | 映画