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ほんとはいいたかったこと・・・鈍間雑記

『しみじみ日本・乃木大将』@りゅーとぴあ劇場(8/26)

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井上ひさし生誕77フェスティバル

【作】井上ひさし 
【演出】蜷川幸雄
【出演】
風間杜夫(こと=壽号前足ほか)
吉田鋼太郎(ぶき=壽号後足ほか)
山崎一、六平直政、大石継太、
根岸季衣、朝海ひかる、香寿たつき ほか


【あらすじ(こまつ座HPより)】
明治天皇大葬の日の夕刻。大帝に殉死することを決意した陸軍大将乃木希典が、静子夫人と共に、自宅の厩舎の前で3頭の愛馬に最後の別れを告げている。そこへ、出入りの酒屋の小僧である本多武松少年が現れ、この家の書生になることを志願する。実はこの少年、かつて日露戦争で乃木の軍にいて戦死した兵士の忘れ形見で、その後乃木本人とも因縁浅からぬ縁ができていたのだ。
 一行が立ち去った後、夫妻のただならぬ様子に異変を感じた愛馬たちが、突如として人の言葉で喋りだす。そして、あろうことか3頭それそれが前足と後足に分裂し、併せて6つの「人格」ならぬ「馬格」となって動き出したのだ!勝手気儘に語り出す愛馬たちに、やがて近所で飼われている2頭のメス馬も加わり・・・。




動物が語るだけなら他にもありそうなんですが(といって直ぐには思いつかないけど。映画だけど最近なら『人生はビギナーズ』で人間と犬の会話が面白かったです)、馬の前足と後足に分かるという、チラシをそのまま写すと「3頭それぞれが前足と後足に分裂し、併せて6つの"人格”ならぬ“馬格”となって動き出したのだ!」とういのが面白そうな設定だなと思っての観劇です。

お芝居は面白かったです♪
手拍子の煽りがあって参加型お芝居でした^^
替え歌は「花さかじじい」とか「花いちもんめ」とか、元歌が誰でも口ずさめるので(最近の子供事情はわからないけど、会場の年齢層なら知ってるはず)観客席も大ノリだった気がします。


定式幕が下りていましたが音楽(お囃子)はなし。舞台両端の電光掲示板にタイトルが表示されていて、国立劇場みたいだなと思いました(ちょうど補助金問題に市長さまが“予定”通りのケリをつけたところだったことも影響してるかも)。
舞台の進行に合わせて、電光掲示板にはチャプタータイトルが表示されていました。私の席からは見えにくくて他に表示されたかどうかはわかりませんが、東京公演で歌詞の表示があったというのを読みましたので、新潟でも同様に表示されていたと思います。
定式幕を使用したのは、乃木大将の殉死決意の証明をするエピソード(駒くらべ)が、馬の足たちによる「あの日あの時の乃木大将」のお芝居=芝居小屋ってことでしょうかね?
黒子の手伝いもありますが、舞台転換、舞台上での衣装代え、小道具準備等、馬の足が行います。


“馬格”の設定がなかなか面白いです。
馬の胴・頭部分を取り外すと、下半身は馬の着ぐるみで上半身は人間の服装の“馬の足”が登場します。馬の出自で上半身の“人間”部分が異なります。お坊ちゃん風だったり、職人風だったり。
ここまでが「馬体分裂」で台詞も動きも前後足一緒で“3頭→3キャラ”なんですが、次にエリート意識の前足組と、そうでない後足組(ボキャ貧で^^;)とに分かれて“3頭→6キャラ”になります(うまく通じるだろか?)
登場する馬ですが、乃木大将の飼馬3頭に加えて2頭のご近所の雌馬が登場するので、10キャラです。
半分馬のスタイルが扮装が可愛くて、“ぶき”の通路芝居を真横で観ていてお尻に触りたいのじっと我慢しておりました。

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「どこまで演出でどこまでがアドリブなんだろう?」と思うことがチラホラ。
例えば、
観客席通路に下りた“ぶき”を“こと”が「こっち(舞台上)で言いなさいよ」と呼び止めて、“ぶき”が「ここが好きななの!」と言い返す・・・のはブログ巡り東京公演レビューで読みましたが、"ぶき”か階段を使用せずジャンプして舞台上に戻るのはアドリブ?

小倉歩兵連隊の場での密偵(吉田さん)が回転(スピンじゃいなくて“でんぐり”の方)しながら登場しますが(これもブログ巡りで読みました)、回転時に落としたペンが見つからなくて取りに戻るのはアドリブ?

乃木大将の落馬の原因、壽号が乃木大将の後を追わねばと思う理由をつくった“あぶ”の場面。蛾など虫の作り物を“こと&ぶき”に貼り付けていくんですが、その作り物の出番が終わると最前列の観客に「もう使わないから」と手渡していたはアドリブかなぁ(大楽だったから)。

笑いをこらえながら台詞を言う場面もあり、
この出演者なら何をやらせてもOK! お好きにどーぞな雰囲気でした。

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『薮原検校』観劇後に今作品の戯曲を読み「こんな感じかな?」とおもっていたのと違ったのが静子夫人。
静子夫人は保己市みたいに、青白い火が見えるような、背筋がぞっとする何かを持ったイメージで読んでいたのですが違っていました。
学習院に向かう大将を見送る「いってらっしゃい」の場とか、
武人と妻の心得として、夫の後を追う覚悟を語る場とか、「息子を奪った時代と早く別れたい」とか、笑いの中ででピリッとくるチリチョコのスパイスみたいな役目・台詞だと思っていたけど、スパイスは笑いの中に埋もれてしましました。

小倉歩兵連隊での兄弟決別の場ですが、可笑しいだけで終わってしまってピリッとしたものを感じませんでした。ここは連隊旗の前で弟よりも御上を選ぶ場面。その後の弟の辿った道を思うから、連隊旗に弟の血が染み込んでいて、連隊旗紛失で大将が感じている責任の本当の意味とか、その事を見抜いた天皇の「型」についての台詞、本当の気持ちを隠して「型」を演じ続ける大将の哀しさがあるような気がしていたので、もっとピリッとしてほしかったののです。

客電が、前半は明るくて後半は暗かったんです。それで前半と後半でお芝居の雰囲気も変わるのかなって思って観てたけど、変わらなかったです。


武松少年の書生志願の中での大将の魅力(?)についての場面で「でも、ごはんに汁粉をかけて召し上がりますね」はなかったように思います。何でだろう?物語と直接関係ないけど、カットする理由もよくわかんない(まぁいいけど)。
演出(ト書で)でどう解釈していいのかわからなかったのが、宮中お茶会でのアンパンを勲章のようにペタペタ軍服に貼り付けること。このアンパン、木村屋のアンパンなんですが、中心の桜は皇后様が考えたとのこと(私は知らなかった^^;これって有名^^?)
「武人の型」「武人の妻の型」「軍馬の型」「軍馬妻馬(メス馬)の型」
その後の日本の歩んだ道を思うと怖い考えだけど、馬鹿馬鹿しい考えというのを言いたかったのかな?

面白かったけど今回はパンフは未購入。
スパイス不足で好みと私的に肝心場面の好みが合わなかったのと、初めて観るのに初めてな気がしなかったから。
戯曲のト書きが細かくて、その通りに進行しているだけで、通路芝居以外は蜷川演出?って感じ
『薮原検校』もト書きが細かかったけど杉の市の早物語の場面とか小日向さん保己市はまり役とか、他にも色々、読んでるから先がわかってるのに今作品と違って大満足でした。
そんなんで、面白かったけどパンフ未購入でスタオベ不参加だったんだけど、今頃になって買えばよかったなとか思ってます。

次はト書きを飛ばして読むようにしよう。
解説にあった明治天皇と乃木大将の関係は、シェイクスピア劇の君主と道化というのは納得



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宝塚ファンの熱意には脱帽。
ホワイエにはいおっかけぽい方達の会話が耳に入り、
終演後は立ってるだけで汗がでる西陽の中、出待ちの列。
東京・大阪公演ならまだわかるけど、退団後も新潟までおっかけてくるなんて凄い。
そんな宝塚ファンのために^^?、立ち姿が麗しいキラキラ軍服にウインク付で大サービスでした。
『冬のライオン』でも私の前列ずらりと宝塚ファン御一行だったんだよなぁ・・・
ここまで夢中になれるものがあって羨ましい気がします。
(写真はりゅーとぴあのサルスベリ)
by k-mia-f | 2012-08-30 06:13 | 演劇