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ほんとはいいたかったこと・・・鈍間雑記

『薮原検校』@りゅーとぴあ劇場(7/15)

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井上ひさし生誕77フェスティバル

【作】井上ひさし 
【演出】栗山民也

【出演】
野村萬斎((杉の市/後の酉の市・二代目薮原検校)
浅野和之(盲太夫)
秋山菜津子、小日向文世、熊谷真美、
山内圭哉、たかお鷹、大鷹明良、
津田真澄、山崎 薫

ギター奏者:千葉伸彦



【あらすじ(ウィキペディアより)】
江戸時代中期、塩釜の地。悪党七兵衛は、醜女だが気立てのよいお志保を嫁にもらい一度は改心するが、お産の費用欲しさに行きずりの座頭を殺して金を奪う。産まれてきた赤ん坊は、醜男で悪党という両親の悪いところばかりを譲り受けたうえ、盲であった。幼くして琴の市という座頭に預けられたその子は、杉の市と名づけられる。
ある日、琴の市と杉の市が浄瑠璃を語っていると佐久間検校が現れて、当道座の掟に叛いたと難癖をつけ、稼いだ金を徴収しようとする。両者が言い争ううちに、杉の市は検校の結解を刺してしまう。身を隠す前に、別れを告げに実家に寄るが誤って母を刺し殺してしまう。かねてより師匠の女房お市と通じていた杉の市は、金銭目当てに、琴の市をお市に殺させるが、お市は返り討ちに遭ってしまう。一人になった杉の市は江戸へ向かう。
目明きと対等になるには金の力で検校になるしかないと考えた杉の市は、酉の市と名を変えて藪原検校に弟子入りし、貸し金の取立てで頭角を現し、遂には二度目の主殺しを犯して二代目藪原検校の座につくことになる。襲名披露の日、実は生きていたお市が現れ、自分と一緒にならねば、今までの悪行をばらすと迫る。口封じにお市を殺害したところを人に見つかり捕らえられた杉の市は、緩んでしまった世の中を象徴する悪党として、人々への見せしめのために無残な方法で処刑される。行年二十八歳。




井上ひさし作品は過去のトラウマ(ちと大袈裟か^^;)から避けてましたが、萬斎さんを始めキャストが魅力的で、どうしようかなと戯曲を読んだら面白い!
電話がつながりやすいので新潟も「万作の会」先行で確保したんですが、チケット届いて1列目でがっかり。これなら演劇パルで電話頑張ればよかっと後悔してたんですが、思ったよりストレス無く観劇できました♪
(1列目は好きな役者さんを追っかけ観るにはいいんだけど、セット含め全体が見渡せないし、世田谷も前列だったので後列で観たかったのです。)

※以下、分けて書いてないものは6/20(1回目・世田谷)と7/15(2回目・新潟)共通の感想です。
※書いてる台詞は不正確です。

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舞台は赤い綱(のような物)を張って囲まれています。綱は盲人の杖のようにも見える長短の枝に括られています。先に戯曲を読んでいたので、最初は津軽から秋田へ向かう三百余命を死に導いた“命綱”と血まみれの指を連想しました。お芝居が進むにつれ、結界のように感じたり(入れないというより、出さないという意味で)、綱が紐に通して繋げたお鳥目のようにも見えてきました。

途中で2度白い綱が登場します。
1度目は杉の市が江戸に向かう舟の場面で、1回目の観劇では何かよくわからなかったけど2回目では川の水を表してるのかなって思いました。2度目の登場は二代目薮原検校が役人に縛られる場面。舞台を囲む赤い綱の他に、上からも赤い綱が下りてきていて、2本だけ白い綱を使用するのは深い意味があるのかなと思ったんですが、2回観ても上記の使用方法(?)以外は思いつきませんでした^^;
途中で上から下りてきた赤い綱が、死体から流れる血や腸のようで不気味に感じます。
1回目ではいつのまにか増えていたので、2回目で下りるタイミングを確認しようと思ったのに、2回目もいつのまにか増えてました^^;。 これだから前列は苦手。
(人を殺めると下りてくるというのをブログめぐりで読みましたけど、ホントかな?)

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世田谷では下手の段差の無い席で、舞台上座っての演技や足元が観えなかったんです。なので、お志保が赤ん坊をあやす場では、七兵衛の魚さばきを観てました。桶から出る魚が段々大きくなってきて、生きがよくて、舞台セットや黒子の頭にバンバンうちつけるのが可笑しい^^
新潟は逆に上手だったことと、眼前を遮るものがなかったので“じっくり”あやす様子だけを観ていました。
ここは途中まで、我が子が盲であることに気付くまでは“ほのぼの”してます。
この先どうなるかわかっているので、なんか観ていて少し“うるっ”となりました。

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1番の見せ場はなんてったって杉の市の早物語!
これを聴くためだけでもリピート鑑賞の価値があると思います。
なんかね、大楽のせいか真近の席だったせいか、2回目は大ノリで語っているように感じました^^♪
緩急をつけた語りに物真似のあり、1回目はよく見えなかったムーンウォークもしっかり見たし、ピンクレディーの振付や長さんみたいな「全員集合」も懐かしい。
(後の2度目の主殺し場面での「ちょっとだけよ」も懐かしい)
そして、三番叟を思い出すジャンプで萬斎さんの狂言が観たくなりました。
9月まで予定がない。長いなぁ・・・
やっぱり萬斎さんは能舞台が一番似合うと思う(当たり前か^^;)
語りが終わると客席から大きな拍手!
(途中で拍手が起きたのがもう一回。世田谷では起きなかったきがするんんだけどどうだったかな^^?新潟では盲太夫と保己市の“〇〇見物”の掛合いの後でも拍手が起きました。)

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早物語の後は佐久間検校と結解(けっけ)登場です。
ここは盲太夫がイチイチ注釈を入れるのが面白い。「注1、結解とは、検校の秘書のようなもので~~」みたいに。
注釈が入ると「だるまさんが転んだ」みたいに他の役者の動きが止まります。2回目のほうが中断された時の“注釈がうざいんだよ!”という態度が大きかった気がします。
この「注釈の間は停止」するルールで盲太夫は杉の市を刃から助け、その助けられたルールを破ること(1人だけ動き出す)で逆に相手を殺めます。ここで殺さなければ杉の市は殺されるわけで、ルールを破ることで生き延びたわけです。
この場面で現在では無茶苦茶に感じる当道座の規則が説明される事もあり、殴られる弱い立場の盲人を見ていると、自分の職場・仕事のこととか、話題の辛いニュースや腹の立つニュースとかも重なって、上手く説明できない複雑な気持ちになりました・・・。

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杉の市は最初の殺人・結解殺しの後、母親のお志保の元へ逃げ帰ります。そして、誤って母親を殺めてしまうのですが、この場面が悲し過ぎる。
演じてる萬斎さんは“おっさん”ですが(ファンですが)、ここでは10代の寮生活の野球少年が逃げてきたように見えました。お志保は息子のために身を売ってお金を貯めていて、間もなく男が来るので杉の市一旦外へ出そうとしますが、事情をしらない杉の市は「何で話をきいてくれないんだよ」と出ようとしません。二人が一緒にいるところを相手の男に見られなければ、母殺しを免れたのに。相手の男刺すもりが誤って母親を刺してしまった杉の市。盲だから自分を誰を刺したのかわかってないのが哀しい。男を刺そうとした理由も、母親を“おへちゃ(醜女)”と言ったことが許せなかったというのが更に哀しい。倒れたお志保を杉の市が抱かかえての演技が世田谷では観えなかったけど、新潟ではしっかり観ることができて更に更に哀しい。
お志保の顔をなでて「おっかぁは器量良しだ」と、「今度は目明きで生まれて、おっかぁの顔を見るんだ」って、涙が出ます。
この母親殺しをきっかけに、杉の市は不良少年から悪党になるんですね・・・
やっぱ母親って特別・・・
お芝居と全く関係ないけど、以前職場の先輩(長男の嫁・同居)が「息子はいつまでも息子だし、母親はずっと母親なんだよ。」と言ってたのを思い出す。

なんか、だらだらで上手くまとめられないな・・・^^;

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「お握りの場」は戯曲にはないので栗山さんの独自の演出ですね(多分)。
ここは盲太夫とギター奏者のお二人がお握りを頂きながらの雑談タイム。こういうの浅野さん得意そう^^
6/20は台風の話題。前日は台風で交通網が大混乱だったけど休演日で助かりましたね~~とか。
7/15は“新潟美人”で観客いじりと、今日で最後だねぇ~とか。新潟公演のご当地ネタは“米どころ”を使うことが多いし、お握りだからそっちを使うかなと予想してたんですが外れました。

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三段斬りの人形は、あたまでっかち三頭身で真っ白。胎児のように見えました。顔の左側がつぶれているように見えたのは醜男だからなのか役人に殴られたからなのか野次馬の投石か?人形の大きさの割には末期そばが少なかったような(私も残酷だな)。
胎児のような人形にしたのは、この最期は生まれたときからの運命、保己市の言葉をなら“生贄”というのを強調したのかなと思います。
親の因果(盲人殺し)が子に報い、盲で生まれた子もまた目明きに殺される・・・・保己市の言葉なら“慰み者”

保己市を演じた小日向さん、こういう役ぴったりですよね!
最近の作品だったら、『犬飼さんちの犬』のお父さんより『スマグラー』の任侠団体幹部が似合うと思う、声を出して笑っていても目は笑ってないような、自分では手を出さない命令する悪人とか。
保己市が刑について説明する場、何の哀れみをなく無感情無表情で(注:褒めている)背筋が寒くなったきがします。

なんか、だらだらで上手くまとめられないな・・・^^;;

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6/20のカテコは2回、7/15は3~4回。
大楽だったし、スタオベ率も結構高かったし、私も久々に重いお尻を上げました。
萬斎さんを始め出演者の皆さんも嬉しそうな表情に見えて、私も嬉しくなってきた♪

初演で音楽を担当された井上ひさしさんの実兄・井上滋さん、パンフの写真でそっくりだなぁって、兄弟だから当たり前なんだけど。そのパンフ、一読後にどこかに置いてきたみたい。世田谷で購入したんですが、風邪気味で帰りの新幹線は風邪薬のんで寝てたんです。新幹線の中かなぁ・・・

これで萬斎さんの野球少年頭も見納め。ござる乃座まで2ヶ月、もう伸びてるよね。
by k-mia-f | 2012-07-16 15:01 | 演劇