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ほんとはいいたかったこと・・・鈍間雑記

『しとやかな獣』@りゅーとぴあ(2/11)

オリガト・プラスティコVol.4「しとやかな獣」
作:新藤兼人
演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:
広岡由里子(前田よしの・妻)
浅野和之(前田時造・夫)
近藤公園(前田実・弟)
すほうれいこ(前田友子・姉)
緒川たまき(三谷幸枝)
佐藤誓(香取一郎)
大河内浩(吉沢駿太郎)     ほか


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新潟公演を観劇しました。
大阪の千秋楽(2/14)が終わったのでネタばれOKですね^^
(なんちゃって、ただ鈍間なだけなんだ^^;)

川島雄三監督の映画(1962年製作)の舞台版です。
物語の舞台は団地の狭い部屋、台詞のやりとりが良いので(変わり身の早い前田夫妻とか)演劇に向いていると思いましたが、映画のこの雰囲気といいますが、登場人物の目線といいますが、どう演出するのか心配でもありました。
要は”期待半分不安半分”ということです。

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客電がついている騒々しい客席で、いきなり芝居が始まりました。
舞台から水洗トイレの音(この時点ではおしゃべりに夢中で気付いていない人も多かったようす)、舞台セットのトイレから家の主が登場しました(台詞で始まってることに気付いて驚いた人も多かったのでは)。
「芝居は進むのに、なかなか客電がおちないなぁ」と思っていたら、おなじみのアナウンスが流れてきました。
舞台の二人(前田夫妻)は”きょとん”とした感じです。
「前田夫妻が勘違いして開演前に舞台に登場した」演出で、広岡さんの”失礼しました”といいう感じの会釈と浅野さんが身振りで携帯電話と居眠を注意するのが可笑しかった^^
最近は観劇マナーの注意を色々工夫してますね。
着席したときから何か違和感を感じていたのは、多分舞台の照明の明るさのせいじゃないかしら?


客電を落とさない演出なんですが、もしかして能楽を意識してるのかしらとチラっと思いました。
(先に書いちゃうけど、私の思い込みでした)
観劇予定が入ってから映画(図書館でVHSだけど)を観ました。なので記憶がまだはっきりしていて観劇しながら「映画と全く同じだなぁ」と思ってました。
観劇後にブログ巡りをしていたら”今回の舞台化は映画通りにという条件があった”というようなのを見つけて、映画の音楽に邦楽(お囃子)が使用されていたので、それで能楽を意識した演出で”映画と同じ”にしたのかと思ったのです。
で、それを裏付けるものが何かないかとブログ巡りを続けていたら・・・
映画のは"歌舞伎囃子”だそうです^^;
(能楽に興味はあるのですが、そんなに詳しくないんですよ。歌舞伎は観たことないし^^;)

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映画と同じとなると、気になるのが盗み聞きシーンや独白シーンです。
上手の襖が透けて見えるようになっていて、奥で盗み聞きしているのがわかるようになっていたのは良いと思いました。
舞台では居間とバスルームの間に仕切りがなかったので(注:バスルームのドアはあります)、居間の吉沢に気づかれぬように友子を移動させるのはどうするのだると思っていたら、大きなカーテンが隠されてました。このカーテンは独白シーンでも使用。
映画では階段を使用した独白シーンが印象的、チラシにも階段があったので気になっていたけど、これはチラシだけでした。


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配役に不満はありません。
皆さんぴったりだと思いますが、気になった点が一つ。
三谷が香取に対して「それはご自分のためではなかったというのですか?(うろ覚え)」の台詞をもっとさらっと言ってほしかった気がします。
理由は、う~~ん 
相手が語気を強くしても全く動揺せず、つかみどころのない、余裕綽々という感じがするかな
って思うんです。

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ケラさんの演出は2回目(そんなに観劇本数多くないんです)。
前回はナイロンの「わが闇」でした。世間の評判は上々のようですが、私には合いませんでした。映画「インテリア」がベースにあるときいて楽しみにしていたんですけどね。
物語はともかく、「ダバダ~~♪」と携帯電話ネタが嫌で嫌で。
はじめはケラさんの演出は合わないかなぁ、どうしようかなぁと迷ったけど、観にいってよかったです。でも、映画の方がおもしろいと思う。
いくら同じ作品でも映画と舞台で比較するのはどうかなって気もしますが、「舞台向きの映画」と思っていたわりには・・・・ という感じ。
映画での、真っ赤な夕焼けをバックに踊り狂う姉弟と淡々とした両親とか、昔の貧しい暮らしに戻りたくないという気持ちとか、ラストの山岡さん(前田夫人)の表情とか。舞台を観ていて、同じシーンになると「あ~ちが~う」って気がして。先に映画を観たのがマイナス評価の一因かも。
by k-mia-f | 2009-02-15 19:06 | 演劇